フリーランスや自営業は会社員のように福利厚生や社会保険などがないため、会社員の倍稼がないと、会社員時代の生活レベルを維持できないと言われていますが、それは嘘です。おそらく、優秀な人に独立されたら困る経営者がそのようなデマを流しているんでしょう。
今回はフリーランスと会社員のお金事情を比較し、それが嘘である根拠をお伝えします。
フリーランスになると税金が安くなる!?
フリーランスと会社員の大きな違いは税金の計算方法です。
簡単に説明すると、会社員の場合は給与(額面)から給与所得者控除や社会保険料控除、扶養控除などの所得控除を引いた金額をベースに納税額が決定します。
一方でフリーランス(個人事業主)になると、売上(報酬の総額)から経費と所得控除を引いた金額に税金がかかります。
この2つの違いは『給与所得者控除』か『経費』かという違いです。給与所得者控除は会社員に認められたいわゆるみなし経費ですね。
例えば、年収300万円の人の場合は、98万円、500万円の人は144万円、700万円の人は180万円…と収入が増えるにつれて上がっていきますが、令和2年以降は、850万円超の方は一律195万円になっています。
つまり、年収が同じで、会社員時代の給与所得者控除とフリーランスになってからの経費が同等であれば、納税額もほぼ同等になる計算ですが、フリーランスは会社員が想像する以上に多くの経費を出せているので、結果的に税金が安くなっているのです。
フリーランスが出している経費とは!?
仕入れ等や従業員に支払った金額が経費となることは当然として、それ以外にもフリーランスは多くの経費を計上しています。
例えば、最近リモートワークの普及で会社員でも自宅で仕事をする人が増えていますが、多くの会社員の場合、リモートワークをすることになって、机や椅子を用意した人も多いでしょうし、ずっと家にいるため光熱費が上がった人も多いでしょうが、それらを経費にすることはできません。
しかし、フリーランスであれば、家賃や光熱費の一部(仕事専用スペースの面積等で算出)を経費計上することができますし、仕事用に買ったパソコンや机なども経費として出すことができます。
また、勉強のための書籍やセミナー代、情報交換や打ち合わせの目的で会食をした場合の飲食代、通勤に使用する車の減価償却費なども経費計上が認められています。
会社員の場合、税金を引かれた後の金額から支出してていたものが、税金を引かれる前に経費として計上できるということは、もし税引き後の金額が同じならその分だけフリーランスの方が自由に使えるお金は多くなるということです。
更に、青色申告をすることで65万円の控除を受けることもできるため、青色申告をしている人であれば、会社員の給与所得控除より多く経費を出せている人がほとんどです。(青色申告と聞くと、難しそうに聞こえますが、最近はソフトを使えば確定申告の知識がなくても簡単にできます)
収入が増えたら法人化という選択肢も!
経費でコントロールできないレベルまで収入が増えてくると、フリーランスであれば、その事業を法人化して、1人法人の社長になるという選択肢もあります。
ちなみにこの法人化のスキームは、会社員の傍ら副業で稼いでいる人も行えますが、法人化することで、税理士さんを雇わなければいけなかったりと増える支出も多くなるため、1000万円がラインとも言われています。個人的には、フリーランスの信用力の低さを理由に、もう少し少なくても法人化のメリットはあると思っていますが、面倒な割に税金面のメリットは少ないため、課税所得が500万円を超えてから法人化を考えれば十分だと思っています。
法人化すると、自宅を社宅としたり、接待交際費が上限800万円まで認められたりと、さらに経費を出しやすく、格段に節税がしやすくなります。
またプライベートと事業をきちんと分けるといった意味でも法人化は効果があります。
フリーランスでも会社員と同等に稼げれば十分
フリーランスになると、身体が資本なので、全く保険に加入していなかった人も働けなくなった場合に備えて保険に入っておく必要が出たり、非常に高い国民健康保険料の支払いが必要になったりと、会社員時代には必要なかった支出が増えるのは事実です。
しかし、その分家賃の一部や書籍代など今まで経費にできなかったものを経費計上することが認められ、税金が安くなるため、年収が1000万円くらいまでなら、同じ収入であれば、フリーランスの方が少しだけ手残りが多くなるっている程度の人が多いようです。
多少の節税や経費計上を目的にフリーランスになることはお勧めしませんが、もし、倍稼がないと無理なんだと二の足を踏んでいる人がいるとしたら、そんなに恐れる必要はないというのが先輩フリーランスからのアドバイスです。